1.先週の動き
先週のドル円相場は118円台前半で取引が始まり、週初は米国市場が休場だったこともあり小動き。21日火曜は1月のFOMC議事録発表に向け、金利差相場再燃への思惑から徐々にドル買いへ一時119円を示現する。しかし予想以上のものはなにも出ず118円台半ばへ反落。その後米国のCPI発表へ向け再度同じシナリオでのドル買いから119円を試すが結果は予想を大きく上回らない+0.7%で再度118円半ばで東京へ。
23日木曜日参議院財政金融委員会で福井総裁が量的緩和について「条件を満たせば直ちに解除したい」と述べたことをきっかけに相場は方向転換。円買いが強まり23日海外時間に117円割れ。翌24日には読売新聞が「日銀執行部が3月8、9日に開かれる次回の政策委員会・金融政策決定会合での解除も視野に検討を進めている」と報道したことから更に円買いが加速今週の円高値116円42を示現。週末海外時間ではバーナンキ議長の講演を前に116円台後半でもみ合うが講演では材料出ず。ところが26日日曜日にNHKの「日曜討論」で与謝野経済財政金融担当大臣が政府と日銀の景気認識はほぼ一致しており量的緩和策を解除する環境は整いつつあるとの認識を示したことで週明けの東京市場では円一段高となっており、ドル円は一時116円を割りこんだ。
2.相場の流れ・市場の言葉
先週は日銀福井総裁の発言を機に相場の流れが転換。それまではFOMC議事録、米CPIと米指標の一段の好転を期待した金利差相場継続狙いのドル買いで119円トライを試みる流れだったがいまひとつの結果であったところへ、日銀総裁発言、読売報道、NHK日曜討論と量的緩和政策解除の材料が三つも(それもちょうど頃合のよい間隔をあけて)続いたからたまらない。一挙に円高となった。特に3つ目の日曜討論での与謝野大臣の日銀への「援護射撃」はこれまで日銀が解除に前向きな発言をするたびにどっちかというと足を引っ張ってきた政府筋(今日も安部官房長官や小泉首相は「いまだデフレ脱却せず」と発言してますね)からの発言であるだけにそれなりのマグニチュードを市場にもたらした。今週は読売の記事にもある3月3日の日本のCPIと翌週の政策決定会合での量的緩和有無が焦点。このところサプライズをもたらさない米政策関連・指標関連はやや後退、波乱要因としてはアダムズ米財務長官訪中と人民元相場といったところだろうか。
◎日本の金融政策(3日、日本CPI1月他)・・・今週の相場の焦点はなんと言っても量的緩和政策解除。ここは素直にCPIの状況と量的緩和規制解除の時期に注目したい。CPIの「コンセンサス」は前年同月比+0.4%これを大幅に上回るようだとさすがにいまのところ来週量的緩和策解除と本気で思っている人はまだ少ないので思惑の円買い加速か。
◎円キャリートレードの巻き戻し(前週と同じ)・・・通貨だけとは限らない。一時中断はあったものの実質1999年から続く超低金利政策の中で目端の利く投機家は低金利の円を調達していろんなものを買っている。ユーロ、オセアニア通貨等相対的な高金利通貨が一般的に知られているが為替相場と関係ない(場合もある)不動産や日本株、金や原油、商品に至るまで広義の円キャリートレードは幅広い・・・。実質ゼロ金利という異常事態の期間が長かっただけにどれだけの規模のキャリートレードが為されているかが分からないところが怖い。
○人民元相場とアダムズ財務長官訪中(27日)・・・週末のバーナンキの講演でも中国の人民元相場の弾力化は「中国自身の利益になる」と述べ一段の為替制度改革を促している。米国内では相応に関心のあるテーマ。
スノー米財務長官も現在の人民元の為替水準に既に不満を明らかにしており、今年四月の定例報告では、中国を「為替操作国」と認定する可能性が強まってきている。その中でのアダムズ財務長官の北京訪問を前に市場では人民元買いが強まり、27日も人民銀行の基準値は8.0420と最高値を更新している。中国も面子があるだけにこのタイミングで切り上げの動きが出るとも考えにくいが、4月の操作国認定回避のための材料が出てくるか注目。中身次第では人民元高加速もあるか。その場合はこの地合では円高材料とされる可能性あり。
△米金利政策とファンダメンタルズ(最近の継続的材料)・・・さんざん材料視された割にはあまりサプライズがない状況が続いたために、ちょっと食傷気味。水曜には一応IMS指数発表があるが今週はあまり中心的なテーマにならない?
△地政学リスクと原油価格(最近の原油高は恒常的ドル売り材料)・・・市場の関心が他へ移ったためやや焦点から外れた。米ロ英仏国際原子力機関(IAEA)は4日、イラン核問題を国連安全保障理事会に付託する決議を採択した。ただし、イランに関するIAEA報告書が3月に提出されるまでの間は、経済制裁などを含む行動を起こさないとの方針を明らかにした・・・。の報告書提出が3/6と近づいてきている。
△リパトリエーション(季節的円買い材料)・・・日本企業の3月決算前の海外からの資金還流のこと。毎年この時期にネタがなくなるとこれを材料に円買いしたり円高の後付材料にされたりする。無視はできないが、タイミングの計りようがなく、仕掛けの材料にはしにくい。
3.今週の予想レンジ 114.50-118.00
あまりドル買い材料が見当たらない。日本のCPIが上昇し、いよいよ来週量的緩和策解消かとなった場合の円高リスクは大きい。市場にあるやめるか否か考え中の円キャリートレードのポジションはまだまだ大きいと考えられ、人民元動向もこのような地合では素直に人民元高→円高に反応しやすい。少し円高方向を深めに予想。
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